まずXSOEとは何か?
XSOEとはウィズダムツリー社が販売している新興国市場に分散投資している2014年の12月に運用が始まったばかりの比較的新しいETFです。
構成銘柄の上位にアリババ、テンセント、TSMC、サムスンといった大手優良企業があるのが特徴で、このETF一つで中国や、台湾、韓国、インドといったアジア圏の国を筆頭に南アフリカ、ロシア、ブラジル等の新興国企業にも投資できます。特に中国企業のウェイトが高く約37%を占めているのが特徴です。

XSOE設立来のパフォーマンスと比較
株を選んでいる時に一番気になる点はおそらくパフォーマンスだと思います。では早速XSOEのグラフを一緒に見ていきましょう。

グラフを見ると、設立来から現在(2020/12)までの6年間で58%のパフォーマンスを上げています。配当金や経費を考えずに、単純に100万円が6年で158万円になったと考えれば十分すぎるパフォーマンスではないでしょうか。
ただ1つ気になる点として株価のボラティリティが高いことです。
2018年には米国が長期金利を引き上げたり、米中貿易摩擦の影響を受け、新興国市場に投資しているXSOEは大きく下落していることがグラフから見てとれます。
ではこの時のXSOEの下落度をS&P500指数と比較してみましょう。
S&P500指数とは米国の企業500社で構成された代表的な指数です

2018年の初めから2019年までの間に新興国市場は35%以上下落していたのに対し、S&P500指数はわずか8%の下落に留まります。
このように、とりわけ新興国市場は先進国の経済情勢の影響を大きく受ける傾向があります。
しかし2020年のコロナショック後の株式市場暴落から見てみると、S&P500指数より早いスピードで株価が上昇していることがわかります。推測ですがその原因として考えられることは、コロナ下での中国の対応が早く、他国よりいち早く経済復帰できたことにあると思います。
XSOEは冒頭で述べたように、約37%を中国企業で構成されているので、良くも悪くも中国経済の影響を大きく受けます。なのでXSOEに投資する際はその点を留意する必要があります。
同じように新興国株式市場に投資しているVWOと比較してみた
VWOとはバンガード社が販売している新興国市場に分散投資しているETFで、XSOEと似たように中国へのウェイトが高いETFです。構成銘柄の上位にアリババ、テンセント、TSMC。とXSOEの構成銘柄と酷似していて、強いて言えば韓国に投資していないので上位銘柄にサムスンが組込まれていないくらいです。
詳しくは過去の記事にまとめてあります。

では実際に比較してみましょう。

両者とも新興国市場に投資しているにも関わらず、大きくパフォーマンスが相違していますね…
VWOはXSOEよりさらに中国企業寄りで、韓国企業に投資していないくらいの違いかと思っていましたが、どうやら現状をみる限りXSOEの方が良いパフォーマンスを上げていることがわかります。VWOは新興国市場に投資しているメジャーなETFですが、XSOEは少し穴場で気付かない方も多いかもしれません。
今後もXSOEの方が堅調に推移するとは一概には言えませんが、ここ数年の推移を見る限り、新興国市場のETFに投資するなら、パフォーマンスにおいてXSOEの方が一枚上手のように見えます。
経費と配当利回りの比較
ETFは一本で多数の企業、そして広範囲で分散投資できる代わりに、運用費として経費が自動的に差し引かれる特徴があります。なのでETFに投資する際は、パフォーマンスだけはなく経費率を調べることがとても大切です。これは投資信託同様です。そして経費率はETFによって大きく異なることがあります。
では今回はXSOEとVWOで比較してみます。

比較してみたところXSOEの方がパフォーマンが良い代わりに経費率が高く、配当利回りが低いことがわかりました。
両者比較後の特徴を簡単にまとめると
XSOE
- 現状はパフォーマンスが優れている
- 経費率がやや高い
- 配当利回りがやや低い
VWO
- 現状はパフォーマンスが劣っている
- 経費率が低い
- 配当利回りが高い
最後に
今回の記事ではXSOEの解説、そして同じ新興国市場に投資しているVWOのパフォーマンスや経費率、配当利回りを比較してみました。この記事を通して新興国市場に投資したい方の解決に繋がれば嬉しいです。
私はいずれのETFもとても優良だと思っていて、どちらのETFを選択するか悩ましい選択だと思います。
経費率はやや高く、配当利回りはやや低いが現状パフォーマンスが良好な値上がり益を狙うXSOEにするか、それとも現状パフォーマンスが低いものも、経費率が低く、配当利回りが高いVWOで保守的に行くか。
自分の好みのタイプのETFを選びましょう。
いずれにせよ投資信託で新興国株式市場に投資するよりは、経費は抑えられつつ配当も入るので賢明な判断に思えます。
