2020年のコロナショックでは殆どの銘柄が大暴落に見舞われましたが、2021年にはダウ指数やS&P500が最高記録を更新し続けるなど、多くの銘柄が大幅に上昇しています。
しかし未だにコロナショック以前の水準に戻っていない業界がいくつかあります。
その一つがクルーズ業界です。
アメリカには世界シェアの7割を握る三つの巨大なクルーズ会社が存在しますが、いずれも2021年の9月時点で-25%、-45%、-48%と大幅な下落から立ち直りきれていない状態です。
- カーニバル・コーポレーション(CCL)
- ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)
- ノルウェージャン・クルーズライン(NCLH)

しかし、昨今ではクルーズ旅行の予約数が大幅に上昇したり、ワクチン接種済みであることを条件に乗船できるようになったりと、クルーズ業界の追い風になるようなニュースも良く耳にします。
カーニバル・コーポレーションは2022年の累積先行予約数が2019年の予約数を上回っていると述べています。つまりクルーズ旅行の需要が確実に高まっているわけです。
そこで本記事では、これらの企業のリバウンドを期待し、様々な点から比較してからどの株がおすすめなのか、私なりに考察していきます。
- 3社の財務健全性の比較
- 営業利益率と割安度の比較
- 投資するならどのクルーズ会社の株がおすすめか
大手クルーズ会社3社の財務健全性を比較する
コロナによる甚大な被害を受け、クルーズ業界は大きく赤字を計上してしまいました。
あまり大赤字すぎる企業に財務指標を全く見ずに投資するのも安全性に欠けるので、まずは各々の財務健全性を比較していきます。
今回は3社の当座比率と負債比率を表にまとめてみます。
当座比率とは、一年以内に流動化できる資産から棚卸資産を引いたものと、一年以内に支払わなければならない負債の比率を表す財務指標の一つで、1を上回るほど負債より資産の割合が高くなり、財務健全性が高いとされます。
負債比率は資本に対してどれだけ負債を負っているか示す指標です。数値が低いほど負債の割合が少なくなります。
2021年 | カーニバル | ロイヤル | ノルウェージャン |
当座比率 | 1.13 | 1.04 | 1.55 |
負債比率 | 2.08 | 3.27 | 3.98 |
表にまとめたところ、当座比率に関してはいずれの会社も良好でしたが、ロイヤルとノルウェージャンの負債比率はカーニバルと比較するとやや高めといった結果になりました。
ただ、再三運航停止に見舞われ損失を被ったことを考慮すれば、あまり気にならない程度だと私は捉えてます。
- カーニバル・コーポレーション
- ノルウェージャン・クルーズライン
- ロイヤル・カリビアン・クルーズ
各社の営業利益率を比較
同じクルーズ業界でも、会社によってビジネス内容は異なってくるため、当然営業利益率も変わってきます。
そこで3社のコロナ前の営業利益率を比較していき、営業効率を見ていきましょう。
営業利益率が高いほど、稼ぎの効率が良いことを表しています。
2021年 | カーニバル | ロイヤル | ノルウェージャン |
営業利益率(%) | 15.74 | 19.02 | 18.23 |
各社の営業利益率をまとめてみたところロイヤルが一番高いことがわかりました。
次いで同等水準でノルウェージャンが高く、カーニバルがやや低めという結果になりました。
- ロイヤル・カリビアン・クルーズ
- ノルウェージャン・クルーズライン
- カーニバル・コーポレーション
割安度の比較
最後に各社の割安度をみていきましょう。
よく株価の割安度を測るのに使われるPERは赤字企業には使えない為、今回は時価総額を年間売上高で割って算出されるPSRを用い比較します。
PSRは数値が高いほど割高になります。
2021年 | カーニバル | ロイヤル | ノルウェージャン |
PSR | 2.77 | 7.25 | 5.06 |
PSRを算出してみた結果、カーニバルが3社の中では抜きん出て割安度が高いことがわかりました。
ロイヤルは他2社より株価が上昇するのが早かったことから、比較すると割高になってしまっていると考えられます。
- カーニバル・コーポレーション
- ノルウェージャン・クルーズライン
- ロイヤル・カリビアン・クルーズ
どのクルーズ株がおすすめ?
どれも魅力的なクルーズ株ではありますが、私的にはカーニバル・コーポレーションがおすすめです。
営業利益率こそやや他社に劣りますが、財務健全性が一番高く、割安度も高いため、お買い得感があります。
さらに、カーニバルは一社でクルーズ業界のシェアの4割近くを占めるほどの超大企業であるため、信頼度も高いです。
なので、クルーズ業界のどの株をピックするか悩んだらカーニバルが無難ではないかと私は考えてます。
まとめ
本記事では各クルーズ会社の
- 財務健全性
- 営業利益率
- 割安度
の3点に着目し、比較を行いました。
結果としてカーニバル・コーポレーションがおすすめだと述べましたが、
「他社の株はどうなのか」
と考える方もいると思いますので、最後にそれぞれのクルーズ会社の株の特徴とおすすめなタイプの人の特徴についてまとめていきます。
カーニバル・コーポレーション → 財務健全性が高く、割安度も高い大手のクルーズ株に投資したい、下落幅が大きかった分V字回復を狙いたい
ロイヤル・カリビアン・クルーズ → 割高だが営業利益率の一番高いクルーズ株に投資したい
ノルウェージャン・クルーズライン → 財務健全性と営業利益率が高いクルーズ株に投資したい、下落幅が大きかった分V字回復を狙いたい
本記事であなたの理想のクルーズ株が見つかれば幸いです。
クルーズ株を取引するのにおすすめな証券会社
本記事で紹介した3社のクルーズ会社はいずれも配当金を出しておりません。
そんな時におすすめなのがDMM 株です。
DMM株は他の証券会社と比較すると配当金にかかる手数料が高いデメリットがありますが、約定額にかかる0.45%の取引手数料がかからないという最大のメリットがあります。
つまり、DMM 株で現在配当金を出していないクルーズ株を取引することで、他証券会社よりも取引手数料を抑えることができます。
このメリットを活かしてDMM 株でお得にクルーズ株を買付してみましょう。
下の記事では同じくコロナで大打撃を受けた航空会社4社の比較をしています。
興味のある方は合わせてどうぞ。
